人気ブログランキング | 話題のタグを見る

父の犬 ポン

先日、父が飼っていた犬、ポンが逃げたらしいんです。

よその家の物置小屋に入り込み、出たり入ったりを繰り返し、その家の方から苦情の電話で
気づいた母。
秋田犬との雑種らしく、大きいポン。
10年ほど前に畑に捨てられていた子犬の中から、まばらな汚らしい毛質のいかにも貰い手がなさそうな子犬を連れてきた父。
数日前の明け方、泥棒に入られたこともあり番犬として迎えたんだと思うんだ。

孫がかわいい父は、我が家の息子と妹の娘(小1と幼稚園年長組み)に電話してきて
「犬欲しくないか?」と聞いたらしい。
当然、「いるいる016.gif
そうして、父と母と暮らし始めたポン。
息子や姪っ子が山形に行ったときは、一緒に畑に行き走り回って育ったわけで。

それが、みるみるうちにでかい図体になり、加えて躾らしい躾をしていないために、吠える。
子どもたちは、大きくなると部活やら地元の行事やらで小さい頃から比べると山形に行ける時も減り、ポンとは疎遠になりつつあったの。
次第に、ポンは父だけに懐き、人間には聞こえない音、父の軽トラックのエンジン音を聞き分け、
尻尾を振って喜びの『吠え』を。

実は、母は動物が嫌いなのです。
母に動物は怖いとか、猫は化けるとか言われて育ったたくろプラも犬猫が嫌いでした。
特に、化けると教えられていた猫が嫌い。
黒猫なんかもってのほか。
(PCに向かうくろプラの足元には2匹の黒猫とケージには灰色の猫が1匹)
反面、小学生の頃は飼育班の班長で、4年1組のアイドルうさぎジャックを愛し、高校生の頃は吹奏楽部の後輩の影響でセキセイインコ、文鳥を飼い、インコは鳥かごが4個に増えるほど繁殖させてはいたけどね。

話は戻るけど、母は父の葬儀が終わると、くろプラと妹が暮らす東京か埼玉県川口市に一緒に付いて行きたいと言い出し・・・
くろプラと妹は母が心配で、それもありか?とか四十九日までは留まってくれないと父が寂しがるだろう?とか色々考えて迷って・・・
すると、こともあろうに、我が母の口から信じられない言葉が!
「犬、いらない。犬がいるから東京にいけない。保健所にやりたい」
母の体や、四十九日の心配をしていたくろプラたちの耳に飛び込んできた、言い表せないような悲しい言葉。
我が母ながら情けないやら、なんたら、言い表せない。

言葉につまり、考え込んでいるうちに、夫を亡くして絶望している母に、言ってしまった・・・
かわいそうだけど言ってしまった・・・
「保健所なんかにやったら、じいちゃんが死んで一番かわいそうなのはポンじゃないか!
自分が一番かわいそうだと思うなよ!じいちゃん死にました、はい、お前も死になさい、ってこと?
そんなこと言う人、うちに来るな!」
母の弱みに付け込んだ、発言でした。

言ってる自分が惨めでしたよ。
理不尽に死を望まれているポンが不憫だし、更に自分が情けなく、自分の悪人さに涙が流れました。
寒い冬、手を握って暖めてくれた母、何をしても自慢に思ってくれてた母、大事な親であり、父を突然亡くして途方にくれてる母なのに、母が一番恐れる、子どもに見放されるかも知れない、という恐れを抱かせてしまった・・・

結局、ポンは生き続けることになり、妹が母を連れてきて、東京と川口を行ったりきたり。
仏様は四十九日までは父の姉である伯母にお参りをお願いした。
ポンには大袋のご飯を用意して、分家のお父さんにお願いし。

夏に帰った時、ポンは元気に暮らしていて。
「ポン!」と呼ぶと尻尾をブンブン振って。

それから、数ヶ月・・・鎖を噛み切り逃げたらしい。
お隣のおばさんと二人で迎えに行き、謝って連れ帰ってきたらしい。

母は電話口で「困った。困った。」と繰り返し、本当に困ってるんだろ。
妹と話すと、ポンの脱走は初めてじゃないらしいのです。
父が健在の時も数回、あるときは同じ地区のくろプラの同級生のお父さんの葬儀の最中に、その家の庭に入り込んだらしいのです。
妹と相談の上、これからも逃げたり、もし間違って人を咬んだりしたら大変なので、今回は母の考えを尊重するしかないのかな・・・?と。
母に電話で「仕方ないから、好きにしていいよ。でも、死ぬためのお手伝いはできないよ。生きるためなら手伝うけれど」と言ったんです。

・・・またしても悲しい発言が。
「あの時、保健所にやっとけばよかった。」
母はくろプラに保健所の手続きやら何やらをやって欲しかったみたい。
ぶちぎれました。
くろプラには、飼い猫ジャックとの思い出があるんです。
今はアップしませんが、殺処分はNGなんです。

生きるためのお手伝い。
山形県の動物愛護センターに問い合わせました。
センターの方のお話は
「今は保健所=殺処分ではない。躾して里親を募る。それでだめならやむを得ず」
らしいのです。
が、殺処分は想定外ではないのです。
もう、くろプラは決めました。
ご飯は、東京で手配して送る。
狂犬病の注射も東京で手配して、実家の近くの獣医さんに相談する。
里帰りの折に、ポンをみる。

くろプラの息子も協力を心に決めたようです。

彼も小学生の頃は飼育班の班長でした(忘れてた・・・)
「保健所には行かせないで。大きいポンでも俺なら大丈夫。」
自称マッチョの息子の発言です。
(あくまでも自称マッチョです。息子をご存知の方、笑いを堪えてくださいな)

そんなこんなをマリちゃんワールドのdegipochi さんに報告したところ
そんなに母の負担になってるなら里子に出すことも考えた方が
ポンにも母にも幸せ、、、と。

帰り道、考えました。
生前、父が出てきた玄関を見ながら、父のかすかに残る匂いを嗅ぎながら命を閉じるのが幸せか、
新しい家族の元で可愛がられて命を閉じるのが幸せか。

簡単に決めました。
母に「いらない。」と言われ暮らすより、運良く里親が見つかったら可愛がってもらって、いつか
あちらで父と再会するのが幸せだよね。

正直に、吠える、躾はしていない等を明記して写真付きで里親募集をお願いしよう。
degipochi さんに気持ちを伝え、従兄弟に写真撮影の依頼をして、
母に里子の案を持ち出した。

即答だった。
「けらんね。」
山形弁であげれない、という。

いざとなったら手放せない、子どもと一緒。

母が留守の時は、母を心待ちにしている、とお隣のおばさんに言われたらしい。

またまた、涙が出た。

ポン、じいちゃんが迎えに来るまでばあちゃんと家族だよ。

ポンのご飯を手配した・・・

by kuro-pula | 2011-11-07 13:25
line

仙台の仲間達、みんな元気かな?


by kuro-pula
line